21年目 エンジニア Oさん

自由と技術に夢中になれる場所で──
入社21年目 技術開発部長 Oさんインタビュー

【 技術を武器に走り続けるエンジニアの21年 】

入社21年。NABEの中核を担う技術開発部を率いる、頼れるベテランエンジニア。
ハードウェア、Linux、ネットワーク、クラスタ構築など、幅広い技術領域を力強く突き進み、複雑な計算機システムを次々と形にしてきました。
現在はITコンサル兼プロジェクトマネージャーとして現場を牽引しながら、次世代技術の探究にも余念がありません。
未経験から技術の世界に飛び込んだ“技術探究の人”が語る、NABEというフィールドのリアルな魅力とは。

ゼロから始まった、技術者としての旅

入社して21年とのことですが、この会社に長く在籍できている理由はありますか?

いくつか理由がありますが、一番大きいのは「自由度と裁量が大きいこと」だと思います。技術的な刺激も常にあって、正直言って飽きることがありません。自分の手がけたものが社会や人の役に立っているという実感もあります。
あと、通勤電車に揺られることもないストレスフリーな環境も地味にありがたいですね。

そもそも、なぜNABEに入ろうと思ったんですか?

実は入社前はフリーターをしていて、どの業界に入りたいとかそういったことはあまり考えていませんでした。
友人に紹介されて、なんとなく面白そうだなと感じたのがきっかけです。最初は「IT業界に入った」という感覚もなく、「なんか面白そうなことをやっている会社だな」くらいの印象でした。

全くの未経験からのスタートだったのですね。そこからどうやってスキルを身につけていったのですか?

自作PCの組み立てすらやったことがなかったのですが、社内にあった部品を使って自分用のPCを組み立て、Fedora Core 3(※1)を入れたのが最初の一歩でした。そこからLinuxのコマンドラインに慣れていきました。
初期の頃の業務で印象に残っているのは、3台くらいのPCでBeowulf型のクラスター(※2)を構築したことで、MPIジョブを並列で流したことです。Grid Engine(※3)を動かすために、先輩に聞いたり本を読んだりしながら、なんとか動かしたのを覚えています。
あと、当時はRed Hat社がRed Hat Linux 9を最後にOSを有償化した頃で、会社が次に使うディストリビューション選定にも関わりました。最終的にはCentOSを採用しましたが、その経験でOSSの世界の一端に触れることができ、興味が深まりました。

※1: 2004年11月にリリースされたLinuxディストリビューション
※2: 複数台のパソコンを組み合わせて並列処理を実現するクラスタサーバシステム
※3: ジョブスケジューラの1つ

沼にハマる力が武器になる

Linux PCの自作やMPIジョブの並列処理を自分の手で動かしていく経験など、技術的な探究心がどんどん育っていった様子が伝わってきました。現在の業務にも、当時の経験はかなり活きているのではないでしょうか?

ベンチマークをたくさんやってきたことが、とても役立っていますね。ネットワークの帯域・レイテンシー計測、ディスクのシーケンシャル・ランダムアクセス、メタデータ性能のテストなど……やっていると次々疑問が出てきて、沼にハマります(笑)
でもそのプロセスで、Linuxやハードウェアの挙動が少しずつ見えてくるのが楽しいんです。引き出しが増えると、構成の判断もより現実的で説得力のあるものになります。

印象に残っているプロジェクトはありますか?

ある産学連携プロジェクトの大規模な計算機システムの導入ですね。導入だけでなく運用にも関わったので、ストレージの管理やセキュリティ対応など、長期的な視点での価値判断も経験できました。「解析現場で本当に役立つシステムとは?」といったことに関する視点と価値観が更新されるきっかけになりました。

技術の変化が激しい中で、学び続けるために意識していることはありますか?

自分の手で触ってみること。興味を持ったら深掘りすること。そして、その技術が出てきた背景や必然性を捉えることですね。話題の技術に飛びつく前に「なぜ今それが必要なのか?」を考えるようにしています。

「面白い!」が原動力

それではベテランの立場として、若手や後輩に対して意識していること、大事にしている関わり方があれば教えてください。

「感情」を大事にしてほしい、ということはいつも伝えています。「面白い!」と感じたら、その瞬間を逃さず、どんどん深堀りしていってほしい。社内には自由に使える検証用ハードウェアがそろっていて、思い立ったらすぐに試せる環境があります。
興味があれば外部のセミナーにも積極的に参加してもらっていますし、「これをやってみたい」と言ってくれれば、必要なリソースもちゃんと準備できます。やりたいことがある人にはとても恵まれた環境だと思います。

ハードウェア、Linux、ネットワークに強いOさんの目から見て、今注目している技術や取り組んでいきたいテーマはありますか?

最近では、CXL(Compute Express Link)に注目しています。どこまで普及するかはまだ分かりませんが、中規模以上のシステム構成がこれによって大きく変わる可能性があると感じています。
また、弊社の「Takeru」シリーズは、バイオインフォマティクス分野の研究者の方々にとって、すでに解析インフラの一部として定着しつつあります。これからは、従来型のHPCクラスタをよりセキュアにしていく取り組みに加えて、OpenStackやコンテナ技術を活用した柔軟な構成づくりにも力を入れていきたいと考えています。

派手さよりも手応えを

最後に、これを読んでいる求職者の方にメッセージをお願いします。

私自身もそうでしたが、社内の多くのエンジニアが未経験からこの会社に飛び込んできています。ど真ん中の経験者が少ないからこそ、素直に学び、手を動かし、深く探っていける人が活躍しています。派手なキャリアパスこそありませんが、地に足をつけて、自分の手で問題を解く。そんな実感を大切にしたい人にはとてもいい環境だと思います。

いま、ハードウェアの進化は加速していて、多様化もどんどん進んでいます。最新のサーバーやストレージ、ネットワーク機器に直接触れられる職場は多くはありません。ハードウェアとソフトウェアを両方使って「おもしろいこと」をやりたい人。ベンチマークが好きな人。技術で誰かの役に立ちたい人。ぜひ一緒にやりませんか?ここはそれができる“場所”です。


採用担当者からひとこと

Oさんのインタビューからは、技術に対する深い探究心と、未経験からでも本質的な成長を遂げられるNABEの環境の魅力が力強く伝わってきました。
「派手なキャリアはない」と控えめに語る一方で、「本当に役に立つものを、自分の手で作りたい」という熱意が言葉の端々ににじみ出ていました。
最先端のハードウェアに日常的に触れながら、現場の技術を自分の手で深め、形にしていける——
そんな実感と手応えを求める人にとって、この職場はまさに理想的なフィールドではないでしょうか。